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白鳳時代の仏像3:夢違観音



(法隆寺夢違観音、銅像、高さ87cm)

白鳳時代も後期になると、仏像の人間臭さが目立ってきて、豊満な肉体を感じさせるものが多く現れる。その代表的なものは、法隆寺宝蔵にある夢違観音だ。ふっくらとした顔、肉付きのよい体つきが、いかにも人間的な地上性を感じさせる。

高さ87センチの立像で、金銅製である。大きく結った宝髷の周囲に三面宝冠を被っている。シンプルな瓔珞の胸飾りを懸け、天衣の裾を両手に受け、左手の先で小壺を持っている。また、下裳はやや扁平であるが単純なカーブを描いている。全体としてシンプルで、人間性を前面に押し出しているところが、奈良時代に近いことを感じさせる。

(深大寺釈迦仏、銅像、高さ81.8cm)

このように、人間性を強調した仏像として、東京深大寺の釈迦仏があげられる。高さ約81センチメートルの銅像である。これは腰かけているところから弥勒菩薩とも、あるいは印相の形から薬師如来とも似ているが、いちおう如来像ということになっている。この像も、ふくよかな顔つきと肉付きのよい体つき、そしてシンプルな装いが特徴である。

なお、夢違観音の名前の由来は、この観音を拝むと悪夢から逃れさせてくれるという信仰に基づく。もっともこれは近世以降の俗説のようなので、もともとは単に観音菩薩と呼ばれていたのであろう。






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