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天平時代の仏像6:東大寺法華堂執金剛神像 |
(東大寺法華堂の執金剛神像 塑像 167.0cm) 東大寺法華堂の執金剛神像は、「日本霊異記」によれば、東大寺の前身金鐘寺の像として、金鷲行者という者の発願によって作られたということになっている。金剛力士とは、仁王の原初の姿であり、釈迦のボディガードのような存在だった。金剛杵を振りかざしている姿から、執金剛神像とも呼ばれるようになった。 この像は長らく秘仏とされてきたこともあり、彩色の状態がよく保存されている。特に上腕や膝の周囲の極彩色や、花文や唐草文様などが目に鮮やかである。塑像といえば真っ白なイメージを思い浮かべがちだが、もともとはこのように彩色を施されるのが基本だったのである。 執金剛神の役割は、説法する釈迦の背後に立って、敵から釈迦を守ることである。そんな役割が、もの像にも表現されているわけである。黒曜石を嵌め込んだ目をかっと見開き、口を大きく開いて威嚇の声を上げ、右手で金剛杵を振り上げ、左手の拳を握りしめた姿は、今にも敵に襲い掛からんとする勢いを感じさせる。 金剛力士はもともとこのような単体の像であったが、後に仁王となって仏殿の前面に控えるようになると、単体では格好がつかず、阿吽一対の像となった。一対の像であるから二王、すなわち仁王ということになったわけである。 (拡大映像) |
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