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鳥毛立女屏風図:正倉院宝物



(鳥毛立女屏風図、136×56cm)

国家珍宝帳に記載されている屏風六扇のうちの第三扇。名称にあるように、もともとは墨で描いた輪郭の中に山鳥の羽毛を貼ってあったが、今日では羽毛は殆ど剥落して残っていない。ただ、顔や手に施された淡彩がまだ色彩の名残をとどめている。

樹木の下に唐風の美人を置いていることから「樹下美人図」とも呼ばれるが、このように樹下に人物を描くのは、インド起源の様式だとされる。それが唐を経て日本に伝わったのであろう。

美人の姿からして、これは唐で描かれた舶来品ではないかとの憶測もなされたが、第五扇の下貼紙に、「天平勝宝四年」の年号の記載があることや、わずかに残存する羽毛が日本産の山鳥のものであることから、日本で描かれたものというのが定説である。

いずれにしても、この絵は、天平時代の宮廷がいかに唐やインド、西域などと文化的につながっていたかについての、貴重な証言だともいえる。





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