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天平時代の管楽器:正倉院宝物



(刻彫尺八、長さ43.7cm)

正倉院宝物には管楽器として尺八(8口)、横笛(4口)、笙(3口)、竽(4口)などが伝わっている。

この刻彫尺八は正倉院の尺八の中で最も大きなものである。竹制で、三節を用い、全面に細密な文様を施している。尺八は唐起源の楽器であるが、その後和楽にも使われて、独自の音楽を作り出すに至った。正倉院の尺八は、我が国の尺八の原形と言えるものである。


(呉竹笙<53.1cm>と呉竹竽<78.8cm>)

笙と竽は唐で完成した管楽器である。17管のものがもっとも普通に用いられ、我が国にもこの形のものが伝わった。同じような音を出すが、笙の方が短いのでその分高音程である。

両者とも管の部分は竹製で、壺と水管は木製漆塗りである。笙壺は黒無地であるが、竽のほうには、壺、水管ともに文様が施されている。

子守唄の中に、「里の土産に なにもろた  でんでん太鼓に しょうの笛」という歌詞があるが、笙はここで歌われているように、里の土産になる程庶民的な物でもないし、また日本の音楽に大きく解けこむこともなかった。





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