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胎蔵界・金剛界両界曼荼羅



(胎蔵界曼荼羅、教王護国寺)

密教では、曼荼羅を特に重視する。曼荼羅自体は密教の専売特許ではなく、ほかの宗派でも用いることがあるが、密教の場合には、教義の中心となる重要なものである。それは、密教的世界観を視覚的なイメージとして表現したもので、世界の本質をあらわしたものとされる。真言密教では、曼荼羅を真言と言うこともある。真言とは、本質あるいは真理をあらわす言葉と言う意味である。

密教では、曼荼羅は両界曼荼羅と言って、二つの曼荼羅からなる。胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅がそれである。胎蔵界曼荼羅は、密教の経典である大日経の教えに基づき、金剛界曼荼羅は金剛頂経の教えにもとづいている。どちらも、大日如来を中心にして、諸仏、諸菩薩、明王、諸天像を一定の形式にしたがって配置している。

本来は寺院本堂内の壇上に描かれたものだが、後代になって、敷物に描いたものを壇上に敷いたり、掛け軸の形に描いたものを壁に掛けて拝んだりするようになった。今日伝わっているものは、ほとんどが掛軸形式の曼荼羅図である。

胎蔵界曼荼羅図は、中心の四角形のなかに八葉の蓮華を描き、その中心に大日如来、蓮華上に四仏と四菩薩を配する。この四角形の周囲には、いくつかの四角形の空間が重層的に広がり、そこに、様々な如来や菩薩、明王などを配し、最外部には諸天が守護するという形をとっている。これらの像は、中心に近いほど大きく、最外部の諸天はもっとも小さい。


(金剛界曼荼羅:教王護国寺)

金剛界曼荼羅図は、画面を縦横三分割、計九つの四角形に分割し、それぞれの四角形に諸仏を描いたものである。上段中央の区画には大日如来が大きく描かれているが、大日如来は、ここだけでなく、ほかの区画に描かれることもある。というのは、金剛界曼荼羅は別名を九会曼荼羅ともいうように、九つの区画それぞれが曼荼羅をあらわしているとされるからである。

一見してわかるように、金剛界曼荼羅図は、四角と円とを組み合わせた、幾何学的な構成になっている。





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