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貞観彫刻6:宝菩提院菩薩像



(宝菩提院菩薩像、木造、像高124.5cm)

京都の宝菩提院は東寺の塔頭の一つであったが、一時期荒廃した後、現在では願徳寺と名を変えて再興した。その本尊とされるものが貞観彫刻の傑作といわれる菩薩半跏像である。美術史上では宝菩提院菩薩像として知られる。

本体、蓮肉とも一木彫である。ただし、両腕の先端部及び踏み下げた右脚の足先部分は継ぎ足したものである。背面の内刳りはない。

一見して特徴とわかるものは、頭部の髻の装飾的な感じと、衣文の流れるようなリズム感だろう。このようなデコラティブな要素は、奈良時代の仏像には見られないものであり、表情の異国的な雰囲気と併せて、大陸の影響を強く感じさせるところといえる。

特に眼を引くのは、瞳に黒珠を嵌め込んである点である。これも、中国の晩唐時代の様式を感じさせる要素といえる。

この像が、単に菩薩像と言われているのは、観音像や他の菩薩像のように、イコンとなっている要素(たとえば観音なら化仏)がどこにも見られないためである。






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