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鳥獣戯画1(泳ぎと弓)




甲の巻物の右端にあたる冒頭部には、渓流で遊ぶ兎と猿が描かれている。この画面の右上には、猿が岩に腰を下ろして、仲間の猿に背中を洗ってもらい、兎が柄杓に水を汲んでかけてやろうとしている。左側には、兎が鹿の背中に乗って川をわたり、いましも陸に上ろうとするところが描かれている。鹿の前には別の兎がいて、進路を先導しているようだ。

どの個体も、一筆描きでさらりと描かれ、しかも線には濃淡で表情をつけている。とにかく動物たちの動きが如実に伝わってくるような迫力がある。



陸の上では弓の射的の最中。大きな蓮の葉で的を拵え、その傍らで狐が狐火をかざしている。どんな意味が隠されているのか、よくはわからない。手前にうずくまっている蛙は、矢を避けているのだろうか。あたりそこなった矢が何本か地上に落ちている。的に当って突き刺さっている矢もある。



こちらは、的に向かって矢を放とうとしている兎と、射つ順番を待っている者たちが描かれている。弓を立てている蛙は二番目の射手、その後ろには三匹の兎が控えている。左下の蛙たちは、まだ順番が回ってこないので、様子を見物したり、弓矢の手入れをしたりと、思い思いのことをしている。

どの動物も、人間たちと変わらない仕草をして、見る者の頬を緩ませてくれる。







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