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平治物語絵巻3(六波羅行幸の巻)



(平治物語絵巻:六波羅行幸の巻1、縦42.3cm、東京国立博物館蔵)

六波羅行幸の巻は、後白河上皇と二条天皇が、内裏での幽閉を逃れて平清盛の本拠六波羅に避難する場面を描く。清盛が熊野参詣で京を不在にしていた間に、藤原信頼らがクーデターを起こして上皇・天皇を幽閉したと聞いて、清盛は早速都に引き返して信頼、義朝の討伐に取り掛かった。そんな清盛を頼って、上皇と天皇とが六波羅に身を寄せる。これがこの巻のテーマである。

上の絵は、女装した二条天皇が八葉の車に乗り、朔平門から脱出しようとする場面を描く。車を不審に思った信頼方の武将が車の中を改めようとすると、平家方に内通する平惟方が兵士を制して、天皇は危機を逃れる。


(平治物語絵巻:六波羅行幸の巻2)

これは美福門院が六波羅に行幸する様子。美福門院は二条天皇の庇護者であり、二条天皇誕生の立役者である。もともと天皇即位からは最も遠いと見られていた人を天皇としたことで、院政をめぐる権力対立が激化し、平治の乱の勃発の原因となったといわれる。


(平治物語絵巻:六波羅行幸の巻3)

二条天皇が六波羅に行幸した後、二条派の公家たちも六波羅に続々終結した。公家たちの車の脇には平家方の兵士がたむろし、天皇のいる六波羅を警護している。

この後、清盛方と信頼・義朝方との間で、烈しい戦いが展開されていく。







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