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春日権現記絵巻:鎌倉時代の絵巻物



(春日権現記絵巻、巻二、白河院の春日神社参拝、縦41.5cm、宮内庁蔵)

藤原氏の守護神である奈良・春日明神の霊験の数々について、二十巻にわたる絵巻物に仕立てたもの。目録の記述によれば、藤原氏の末裔西園寺公衡が発願し、延慶二年(1309)に完成・奉納された。絵は、宮廷画家の高階隆兼が担当し、詞書は公衡の弟覚円法印と鷹司基忠が担当した。隆兼は伝統的な宮廷絵画の技法を受け継いでおり、この絵巻のなかにはそれが集大成された形で盛り込まれていると考えられる。

描かれているのは、承久七年(937)の託宣から嘉元二年(1304)の神火のことまで。当時の貴族たちの屋敷の内外から、春日神社の境域、僧坊の生活、また合戦の様子などが、絹布の上にことこまかく描かれている。

上の絵は、巻二から、寛治七年(1093)三月、白河院が春日神社を参拝した時の様子を描いたもの。院が参拝している間、従者らが二の鳥居付近でたむろしている様子である。


(春日権現記絵巻、巻五、藤原俊盛の邸)

これは、藤原俊盛の広大な邸の様子を描いたもの。池に面した寝殿の廊下に俊盛の子女が集まり、戯れている様子である。自然描写がきめ細かい。


(春日権現記絵巻、巻八、霊験譚)

これは、東国で修行する一人の僧が、春日神社の方向に向かって思いを馳せていると、春日明神が姿を現し、僧を励ましたという霊験譚を絵にしたもの。







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