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興福寺北円堂弥勒仏像:運慶と鎌倉彫刻




治承四年(1180)の兵火で焼かれた東大寺や興福寺は、いち早く復興された。その過程で、康慶・運慶父子をはじめとした慶派の仏師も参加した。東大寺南体門の仁王像はその代表的なものである。興福寺のほうについても、運慶を中心に仏像の再建が行われた。北円堂の諸像はその代表である。

北円堂の諸像は、承元二年(1208)から建暦二年(1212)にかけて、運慶を総仏師、源慶を上座大仏師、静慶を頭仏師として造立された。弥勒仏坐像はその中尊となるものである。

時に運慶は六十歳前後だった。晩年であるが、衰えぬ創作意欲を感じさせるばかりか、日本彫刻史のうえでのエポックを画す作品である。

桂材の寄木造りで、頭部、体部ともに四材の矧木造りである。頭部内に、弥勒菩薩小像と建暦二年記の願文を納めた厨子などが収められている。なお、光背は後世のものである。

(木像寄木造り 造高141.9cm)






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