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空也上人像(六波羅蜜寺):康勝作




京都の六波羅蜜寺にある空也上人像は、運慶の四男康勝の作品。康勝の作品としてはほかに、法隆寺の阿弥陀如来像、教王護国寺の弘法大師像などがある。空也上人は、平安時代中期に活躍した僧で、浄土教の先駆者として知られ、各地を回って、南無阿弥陀仏の六字の名号を唱えれば成仏できると説いた。

そんなことから阿弥陀聖と呼ばれ人々に慕われた。かれはまた、駅病予防のために、古い井戸を壊し、新しい井戸を作ったりもした。

六波羅密寺は空也上人が作ったとされる。康勝がこの像を創ったのは、鎌倉時代の初期。空也上人の死後一世紀後のことである。。

左手で鹿の角をつけた杖を持ち、右手で持った撞木で胸に下げた鉦鼓を叩き、念仏を唱えている姿を表現したものだ。上人の口からでている六体の化像は、それぞれ南無阿弥陀仏の文字をあらわしている。

顔の表情や衣文の表現に写実的な特徴が見える。これは父親運慶の写実主義を忠実に受け継いだものだといえる。とくに、右肩の衣装がずりおちているところなどは、細かい配慮を感じさせる。



これは空也上人の顔の部分を拡大したもの。口から六体の聖が出てきている。この像は木造寄木造りで、目は玉眼である。

(木造寄木造り 像高117.6cm 京都六波羅密寺)






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