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雪舟の山水長巻(二)




山水長巻の特徴は、四季の季節の変化が明瞭に表現されていることだ。そしてその季節の交代が、それとわかるように描かれている。春から夏への交代は、霞のたちこめた山中の景観から、ゆったりと水をたたえた湖畔の景観への転換として示される。

この水は、浙江にある西湖をモデルにしたものだと指摘されている。夏の部にかかわらず、長巻全体が西湖周辺の、瀟湘八景に描かれたような景色を模範として、それに雪舟のイメージを重ね合わせて、自由自在に再構成したものと思われる。

これは、初夏の景色。帆船が西湖の岸に停泊しているところを描く。水はうす青く着色され、遠景の岸辺はほんのりと描かれている。



仲夏の景色に連続する。手前にごつごつとした岩を配し、遠景に小さな帆船を描く。これは瀟湘八景のうちの、遠浦帰帆を下敷きにした図柄だろう。



晩夏の景色。切り立った巨岩と針葉樹の林によって、横の画面に縦の変化をもたらすのは、この図巻の大きな特徴である。右手に見える塔は、いかにも中国風。この図柄は遠寺晩鐘をイメージしているのかもしれない。



帆船の部分を拡大したもの。一本マストの小さな船は、中国風なのだろう。







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