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花鳥図屏風二(左隻):雪舟




左隻のほうは、背景に雪山を配しているが、風景としての趣は余り感じさせない。前景の事物に近接しすぎているせいだと考えられる。そのため装飾的なパターンと言ってよいほどである。

背景が単純なのとの対比で、前景は梅の古木と鴈とをアップして描き、劇的な効果をかもし出している。古木の描き方には、従来の雪舟の樹木の描き方に比べ、細部への強いこだわりを感じさせる。古木の細部に拘るのは、等伯など桃山時代の特徴であり、雪舟はそれを先取りしているともいえよう。

右隻が、色彩を感じさせるのに対して、こちらは水墨画的に淡白な色使いになっている。



これは、鴈の飛んでいる部分を拡大したもの。鳥の飛翔感があまり感じられないのは、雪舟の描き方に問題があるようで、このようにぼってりとした描き方になっているのは、やはり苦手だった故ではないか。

羽が薄い茶色に彩色されているが、背景の画面から浮かび上がるほどに鮮やかではない。(紙本着色 151.6×366.0cm 六曲一双)







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