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山水図:雪舟の絶筆




これは雪舟の絶筆となった山水図である。上部に、牧松周省と了庵桂悟による賛が添えられている。まず、牧松が賛を寄せ、彼の死後に了庵が賛を加えたことが、文面から読み取れる。

牧松周省の文は、七言律詩の体裁をとっており、その後半部は、「東漂西泊舟千里北郭南涯夢一場我又相欲帰去青山聳処是家郷」とある。これは、雪舟が死んだので自分も青山聳えるところに帰さん、つまり死のうという意味である。実際牧松は雪舟の死後まもなく死んだらしい。

了庵の文は、この絵に寄せて雪舟の志をたたえたあとに、「牧松遺韻雪舟逝天末残涯驚春夢」とある。牧松も雪舟も死んだあとに、彼が賛を寄せたことがわかる。



これは山水図の部分を拡大したもの。構図は伝統的な詩画軸山水図で、山路を歩く人物を通して奥行きを感じさせようとする雪舟らしい意図は感じられるが、筆致はややぞんざいで、老いによる衰えを感じさせる。(紙本淡彩 119.0×35.3cm)







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