日 本 の 美 術
HOMEブログ本館日本文化美術批評東京を描く水彩画動物写真 | プロフィール掲示板



雪舟の山水図巻(秋冬)



(山水図巻秋)

山水図巻の画面は、季節ごとに均等に割り振られているわけではない。秋と冬はあわせて全体の四分の一程度である。これは夏珪の原作がそうだからか、あるいは雪舟の独自の配分なのか。日本人が秋がすきなのは雪舟の時代も変らぬと思うので、おそらく原作の構成に左右されたのではないか。

秋の光景もまた中国風である。岩山のなかに東屋があり、そこに二人の人物が安らいでいる。いかにも中国的な仙人のイメージだ。やわらかい線で、景物を明確に描いているところは、夏珪の技法の応用だろう。


続いて、野分が吹き荒れる秋の野原を描く。こうした光景には、日本的な情緒を感じ取れる。


(山水図巻冬)

冬は一面氷に閉ざされた湖の背景に、荒涼とした雪山の連なりを描く。日本の山のように峻厳ではない。これも中国の風景のイメージに近いのだろう。


画面の最尾は、荒涼とした冬山のイメージだ。「雪舟」の方印が押されている。







HOME雪舟の世界次へ








作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013-2017
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである