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花鳥図屏風(左隻):雪舟




花鳥図屏風の左隻は冬景である。左側の前景に雪をかぶった梅の木を配し、遠景に白い雪山を展開させて、そこに溶け込ますようにして、白鷺と鴨を描いている。鴨は泳いでいるので、当然凍っていない水の上だ、雪山も湖沼も白く描かれている為に、その境界がはっきりしないが、そのはっきりしないところが、冬の雰囲気をよく出している。

構図的には、左側の梅の木と右側の白鷺とが対応関係にある。大きさから言えばバランスを欠いているにかかわらず、そう感じさせないのは、白鷺の動きが、梅の木の不動とつりあっているからだ。

よく見ないと目立たないが、湖沼からは夥しい数の芦が生えている。それがうるささを感じさせないおかげで、梅の木や白鷺が目だって見えるわけだ。



これは、鴨の部分を拡大したもの。白黒の画面のなかで、この鴨だけが色彩を施されている。よく眼を凝らして見ると、鴨は二羽いるのがわかる。鴨は常に雌雄二羽で行動しているものである。(紙本着色 179.1×365.7cm 六曲一双)







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