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松島図屏風(左隻):宗達の世界




松島図屏風は左右が一体となって一つの画面を構成しているので、この左隻の図柄は当然、右隻の延長としての風景を描いている。両者をつなげるのは、波打つ海と黄金に輝く浜だ。海はともかくとして、浜の描き方は、かなり様式的だ。その形象は、あたかも雲を思わせる。

上部右寄りに浜松の群れを描き、左手の海上に小さな砂州を描く。この砂州は、一見したところ砂州には見えないかもしれない。まるで、空中に浮かんでいる小さな雲の塊のようでもある。これを、砂州を表現していると言えるのは、おそらく約束事があるためだろう。

松の描き方は、かなりダイナミックで、それまでに見られないものだったのではないか。枝をくねくねとのばし、その先端に松葉の塊を拝しているが、一見しただけでも、これらの松には大した実在感はない。その分、様式的なものを感じさせる。



これは、図柄の中心部分を拡大したもの。ここでも波の描き方が強いインパクトを以て迫ってくる。白い波しぶきと細い線の組み合わせで表現された水の動きが、ダイナミックな印象を醸し出している。

(紙本金地着色 152.0×355.7㎝ フリーア美術館)





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