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祖師三幅対:白隠の禅画




臨済宗には、禅共通の祖師としての達磨のほかに、臨済、雲門の二人を加え、三祖師の法統がある。臨済は八世紀の唐の時代に活躍し、臨済宗の宗祖となった人、雲門は晩唐から五代の時代に禅の興隆に尽くした人である。白隠は、この三人を並べた祖師三幅対をいくつか描いている。これは、愛知県の定光寺に伝わる三幅対である。

中央に達磨、右手に臨済、左手に雲門を配している。上は雲門の像。目をかっと見開き、口をやや開いて、なにごとかを叫んでいるように見える。賛には「どうしてそんなに怒りっぽいのか」という意味の言葉があるから、この人はやはり怒っているのだろう。



これは中央の達磨の像。七十歳ころの単品の半身達磨像と似ているところから、この三幅対もその頃に描かれたと推測できる。



これは左手の雲門の像。ほかの二人と比べると、穏やかな表情である。賛には、「どうしてそんなにまじめくさって修行しているのか」という意味の言葉がある。雲門は臨済宗直系というわけではなく、またその法統は元の時代に滅びたとされるが、白隠はなぜかこれを、臨済宗の法統に加えた。

(紙本墨画 各201.7×87.1cm 愛知県、定光寺蔵)







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