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七福神合同船:白隠の漫画




「七福神合同船」と呼ばれるこの絵は、一艘の船に集合した七福神を描く。その船は「寿」という文字をあしらった文字絵で表現されている。文字絵は白隠の特技の一つだ。この絵の場合には、「寿」という文字を分解して、マストの部分と船体の部分とを、それぞれ心憎く表現している。

船の上に乗っているのは、右から寿老人、鍾馗、布袋の三神、船の後ろ側に大黒天が大きく描かれ、その左手に弁天以下の三神が描かれる。その数合わせて七体。そのなかに鍾馗を含ませているのは、同じ武神としての毘沙門天の身代わりだろう。

大黒天の周囲にねずみが多く描かれているが、これは大黒天の家来(使者)のつもりだろう。

鍾馗のほかはみな、薄い墨で描かれている。これは文字絵の船を強調するための配慮と思われる。要するにこの絵の中心は、この船なのだ。

後方に懸けられた軸の中に賛が書かれている。右手は「七福の種は何ぞと人とはば、まづ忠孝の二字と答へる」とあり、左手は「不奢不貪、不怠不貧、仕父母孝、大黒天神、君に忠親に孝有る人しあらば、みの笠もやろ槌もやろ」とある。



これは船の左側を拡大したもの。七福神のなかで鍾馗だけが、濃い墨で描かれている。弁天以下の四神が、笛や鼓、太鼓で楽をかなで、船出を祝っているように見える。

(紙本墨画淡彩 58.8×116.6cm 個人蔵)






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