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布袋吹於多福図:白隠の漫画




お多福は現代ではおかめとして、ひょっとこと対でイメージされることが多い。白隠は布袋と並べてお多福を描いた。それも布袋がお多福を生み出したという形のものが多い。この絵もその一枚で、布袋が吐いた煙からお多福が生まれたということになっている。

絵の趣旨は賛から伺われる。それは「善導吐三尊弥陀、布袋吹二八於福、吐弥陀依称名功、吹於吹将其何力」とある。善導大師は阿弥陀様を吹き出したが、布袋は二八十六歳のお多福を吹き出す、阿弥陀さまを吹き出すのは称名の功徳による、お多福を吹くのは何の力か」という意味だ。この漢文に続いて、「随分と思へど、お福ばかりは吹にくひものでござる」とある。一生懸命煙を吹くが、お多福を吹くのはむつかしい、ということか。

白隠が布袋にタバコの煙を吹かせているのは、白隠自身の愛嬌からだろう。白隠はタバコ好きだったようだ。布袋の背後に瓢箪が置かれ、その傍らに銭が転がっているが、その銭には道楽通宝と書かれているそうだ。永楽通宝をもじったものだが、これによってすたすた坊主の道楽を布袋の道楽に結び付けているのだろう。



これは布袋の部分を拡大したもの。はげ頭と太鼓腹は布袋のトレードマークだ。

(紙本墨画 67.9×94.7cm 個人蔵)






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