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竹渓訪隠図:蕪村の世界




「竹渓訪隠図」は、題名からも明らかなとおり、山中に隠居する高士を人が訪ねるというモチーフを描いている。画面は霞の介在によって上下に分割され、下界には竹林と渓流とが、上界には峰々が聳え立っている。峰の描き方は、手前を明瞭に、遠くを青くぼかすことで、遠近感を演出している。

渓流に沿った道を一人の男が歩いていくが、彼の背負っているのは書物だと思われる。書物を土産にして、高士を訪問するというのが、南宋画の代表的な構図だ。

右上に「謝寅写於雪堂」の署名がある。(117.5×40.5cm 絹本彩色)



これは山荘の部分を拡大したもの。笹や樹木の葉の描き方に蕪村らしい特徴が窺われる。まず葉の繁りの塊をおおまかに彩色した上に、葉の一枚一枚を丁寧に描き加えるというやり方だ。







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