日 本 の 美 術
HOMEブログ本館日本文化美術批評東京を描く水彩画動物写真 | プロフィール掲示板



風雨起龍図:池大雅




池大雅は若い頃から絵の才能を発揮して、二十代の前半で傑作を描いている。特定の画風に限らず、さまざまな画風を学んだ。なかでも中心となったのは南宗画であり、この画風を洗練してゆく過程を通じて、彼独特の文人画といわれるものを創造していった。

「風雨起龍図」と題するこの絵は、馬歯二十四の年(延享三年)の作品。激しい風雨のなかをついて龍が昇天するところを描くとともに、山荘の中で高士が一人机に対しているさまを描くことで、静と動との対比を浮かび上がらせている。

画面の構成に雑然としたところがある点、樹木の線にやや堅いところがある点など、稚拙なところも指摘されているが、南宗画の雰囲気は出ているといえる。(148.0×41.0cm 紙本淡彩)



これは上部の山の部分を拡大したもの。岩肌の様子を米点で表現するところは米芾の画法に学んだのだろう。画面右手には、昇天する龍が描かれている。







HOME池大雅の世界次へ










作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013-2016
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである