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峡中桟道図:池大雅の世界




「峡中桟道図」(蜀桟道図ともいう)は、険阻なことで知られる蜀の桟道を描いたもの。関中(陝西省)と蜀(四川省)との境の山中にあって、絶壁にへばりつくようにして通じた道だ。その様子が粗末な桟橋を思わせることから、蜀の桟道と称された。

中国の絵画では伝統的な画題として古来描かれてきたが、池大雅は南宗画にかぶれた立場から、これを描いたのだろう。絵からは、断崖絶壁のつらなる山中の険しい様子が伝わってくる。無論実景ではない。大雅は中国の絵を参考にして描いたのだと思われる。(130.9×54.8cm 紙本淡彩)



これは桟道の部分を拡大したもの。桟道とは本来木を組んで作ったはしご状の道であるから、これは厳密には桟道とはいえない。曲がりなりにも通常の山道の体裁を整えている。その山道を馬に乗った人々が進んでゆく様子が描かれているが、そのいかにものどかな感じは険阻な桟道を行くというイメージには遠い。







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