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蓮池遊魚図:若冲動植綵絵




「蓮池遊魚図」は、蓮池の水中を悠々と泳ぎまわる魚たちを描いたものである。魚はあわせて10尾おり、そのうち9尾は鮎、一尾はオイカワだと思われる。これらの魚がすべて横からの視点で描かれており、しかもほとんど同じ姿勢である。一群の対象をほとんど相似的に描くのは若冲の特徴の一つで、この絵ではそれが不自然さを感じさせない。

魚が横からの視点で描かれているのに対して、大きな蓮の葉は、真上から見下ろしたように描かれている。一方蓮の花のほうは、真上からの視点と真横からの視点が入り混じっている。このように、一枚の絵の中に、異なった視点から見たものを混在させるやり方は、セザンヌの静物画の技法を思い起こさせる。

左側に「斗米菴主若冲」の署名がある。「斗米菴」は若冲が仕事場につけた名で、一斗の米と自分の絵を交換するという意味を込めている。(142.6×79.7cm)



これは、魚の群れの下半分を拡大したもの。魚と蓮の花が真横からの視点で描かれているのに対して、蓮の葉は上からの視線から描かれている。







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