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群鶏図:若冲動植綵絵




鶏の画家若冲の代表作ともいえるこの絵は、文字どおり鶏だけを描いたものだ。鶏冠を頼りに数えてみると十三羽いるが、もしかしたら、他の鶏の陰に隠れているのが他にもいるかもしれない。そう思わせるほどこの絵は込み入った印象を与える。個々の鶏の頭部と胴体とがどうつながっているのか、一見してわからないところがある。

鶏はすべてほぼ水平の視線から描かれている。一方地面に描かれている草を見ると、斜め上から見下ろした視線から描かれている。そんなわけでこの絵には、複数の視線が交差しており、それが見るものに不思議な印象をもたらす。

署名や製作時期の記載はない。(142.6×79.7cm)



これは画面の下部を拡大したもの。中ほどにいる正面を向いている鶏は、観客を見つめているように見える。右下手の二羽の鶏は、なにやら複雑な姿勢でもつれ合っている。







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