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当世踊子揃:歌麿の美人画



(鷺娘)

歌麿は、天明の末頃に大首美人画を描くようになった。「当世踊子揃」と題したシリーズはその代表的なものである。これは、吉原の芸者たちの踊りに取材したという説や、普通の町娘たちの踊る姿を描いたものだとする説などがあって、解釈が定まらないが、どちらにしても、若い女性たちの美しさを、画面いっぱいの顔で表現したものである。

「鷺娘」というのは、踊りの題であったらしい。牡丹と思われる花をあしらった大きな花笠をかぶり、ややうつむき加減に首をかしげた若い女の表情が生き生きとした感じを伝える。娘には名がない。


(吉原雀)

これは、薄紗のかぶりものをかぶり、ややうつむいた女の表情を描いている。鷺娘の女と比べると、顔の造作にやや変化があるのがわかる。歌麿は、女の顔を単に類型的に描くのではなく、実際の似顔を描いた。

題名に「吉原雀」とあることから、これは吉原の芸者を描いたものだとの解釈が生まれる一方、これは単に踊りの名称なのであり、この絵の女が吉原の女とは限らないと言う見解とが拮抗している。







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