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三代目瀬川菊之丞の田辺文三妻おしず:写楽 |
(三代目瀬川菊之丞の田辺文三妻おしず) 田辺文三の妻おしずに扮した三代目瀬川菊之丞。三代目菊之丞はもと瀬川富三郎といったが、二代目菊之丞に見込まれて三代目を襲名した。二代目も三代目も女形の名優として名が高かったが、それ以後も、瀬川菊之丞は女形の名跡として、多くの名優を輩出した。 三代目菊之丞は、美貌で女らしい雰囲気に包まれ、セリフまわしも優雅だったといわれる。当代きっての人気女形であり、三代目歌川豊国も錦絵に描いた。その豊国の絵とこの絵を比較すると、興味深い点が浮かび上がってくる。 まず、両者とも、菊之丞を受け口に描いている。眉や目にも似ているところがある。だが、豊国の絵が、対象をあくまで美しく描こうとしているのに対して、写楽の方は、菊之丞の老いを隠さずに描いた。それは、この二つの絵を並べてみれば、一目瞭然である。 この舞台の時には、菊之丞は44歳になっており、老いが表面化するのは致し方のないことだった。それを、豊国はあくまでも菊之丞を若々しく、美しく描こうとしたのに対して、写楽はありのままに描いたわけだ。 (大谷徳次の奴袖助) 奴の袖助は道化役として登場する。袖助を演じた大谷徳次は道化方の人気役者だった。この絵には、道化の雰囲気がよく捉えられている。 |
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