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中山富三郎の宮城野:写楽 |
(中山富三郎の宮城野) 松下造酒之進の二人の娘のうち姉の宮城野。これは第五幕の山谷の仮宅の場面で、遊女に身を売った妹のしのぶを訪ね、敵志賀大七の手がかりを得ようとするところだ。 中山富三郎は、なよなよとした仕草が売り物で、「ぐにゃ富」として親しまれた。この絵にもそうした雰囲気は伺われるが、やはり女らしさよりは、男としての本性を感じさせてしまうのではないか。豊国も富三郎を描いたが、豊国の富三郎は、唇をきりりと結んで凛々しい表情を見せる一方、女形としての女らしさも十分に感じさせる。つまり豊国は、富三郎を理想化して描いているのに対して、写楽の方は女形の男っぽさを、かなり戯画化しているといえる。 (松本米三郎のけはい坂の少将実はしのぶ) これは、松本造酒之進の娘のうち、妹のしのぶ。今では身を売って、けはい坂の少将の源氏名で座敷に出ている。そこへ姉の宮城野が訪ねて来て、二人で仇討の計画を練る。 一見して優しそうな表情で、仕草にも女らしさがただよう。写楽の描いた女形では、もっとも女らしさを感じさせるものである。 |
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