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常盤橋内紙幣寮之図、一石橋夕景:小林清親の東京名所図



(常盤橋内紙幣寮之図)

紙幣寮は大蔵省印刷局の前身である。明治四年に役所として設立され、紙幣の発行や銀行の許認可などを所掌していた。だが、役所の設立当時は、技術的な問題があって紙幣の印刷はドイツなどの外国に依頼していた。日本で印刷するようになるのは、明治十年以降のことである。

それに先立ち、印刷工場が整備され、紙幣寮も紙幣局と名を改め、洋風の立派な建物が建てられた。この図柄は、建ったばかりの紙幣寮の姿を描いている。この建物は常盤橋の内側の皇居沿いに建っていた。

三代目広重もこの建物を描いているが、そちらのほうはレンガ造りの威風堂々たる様子が強調されている。それと比べると、清親のこの絵は、やや大人しい印象を与える。


(一石橋夕景)

一石橋は日本橋川にかかる橋で、常盤橋と日本橋にはさまれるかたちになっている。徳川時代に架けられた古い橋であるが、いまあるものは昭和48年に架けなおされたものだ。

現在の一石橋は、日本橋同様、首都高速の無様な構築物に頭を抑えられた格好になっているが、明治初年にはこのように、都心ながらものどかな雰囲気を漂わせていたわけだ。







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