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天龍寺:日本の寺院庭園




天龍寺は天平年間に行基によって創建された古い寺院であったが、その後荒廃していたところを、暦応二年(1339)夢窓国師によって再建された。その際に曹源池を中心にした池泉回遊式庭園も造営された。この同じ年に、夢窓国師は西芳寺の庭園も造営しており、この二つの庭園は双子の庭園とも呼ばれ、日本の庭園造営の歴史に大きな影響を及ぼした。

前年の1338年には後醍醐天皇が崩御している。後醍醐天皇の恩顧を受けた夢窓国師は、この庭園に後醍醐天皇への鎮魂の気持を込めたといわれる。借景となっている亀山は、後醍醐天皇崩御の地名であり、池の中の亀島も後醍醐天皇にちなんだものである。

庭園は方丈の前の空間に広がり、池を中心とした回遊式庭園が、背後の斜面と一体化している。池の向かい側には「竜門の滝」といわれる三段の石組がある。その二段目の石は「鯉魚石」と呼ばれ、鯉が滝を登るさまをイメージしているが、これは中国の竜門の滝の故事にもとづいたものである。この故事から「登竜門」という言葉が生まれた。

また、曹源池の名は、池中から出てきた石に、夢窓国師が「曹源一滴」と彫ったことに由来するという。

上の映像は、方丈の前から庭園を眺め回したもの。



これは、後背地の斜面から庭園を見下ろしたところ。








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