日 本 の 美 術
HOMEブログ本館日本文化美術批評東京を描く水彩画動物写真 |プロフィール掲示板



飛鳥時代の仏像1:飛鳥大仏



(飛鳥の大仏、奈良安居院蔵、銅像、像高275.7cm)

日本最古の寺法興寺(飛鳥寺)の本尊は、今日飛鳥大仏と呼ばれている丈六の釈迦像である。法興寺の完成は日本書紀によれば596(推古四)年のことであるが、この仏像が完成したのはそれより遅れて609年のことと推定されている(606年説もある)。作者は鞍作止利、後に法隆寺金堂の釈迦三蔵像を作った仏師である。

平城遷都とともに飛鳥地方の諸寺院も奈良へ移転し、法興寺も移転して元興寺と名を改めたが、原法興寺の堂宇はそのまま残され、飛鳥大仏も引き続き飛鳥寺に残った。しかし、1196(建久七)年の雷火で堂宇はことごとく消失、大仏も大きく損傷し、その後、野ざらしのまま立っていた。現在安居院と呼ばれる本堂は1825(文政八)年に再建されたもので、その際に大仏にもかなり手が加えられたものと思われる。

現存の大仏像は単体であるが、作られた当初は法隆寺金堂の釈迦三尊と同じような形式であった。即ち大きな挙身光に包まれたかたちで、中央に釈迦像、両脇に脇侍が並ぶというものである。

現存の釈迦像は度々修復された結果、制作時とは大分異なっていると考えられている。制作時そのままの部分は、1933年の石田茂作の調査では、頭の上半分、左耳、右手の第2〜第4指のみだと推定されている。1973年の奈良国立文化財研究所による調査でも、頭部の額から下、鼻から上の部分と、右手の第2〜第4指のみだとされた。

こんなところから、全体の印象は法隆寺金堂の釈迦物とは大分異なって見えるが、当初から残っている部分について両者を対比すると、かなりな共通点があることを確認できるという。特に目は、よく似ていると言える。

ともあれ、日本最古の仏像と言えるこの釈迦像は、丈六仏の名にふさわしく、275センチ・メートルの高さを誇っている。






HOME飛鳥・白鳳美術次へ






作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013-2014
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである