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平等院鳳凰堂阿弥陀如来像:藤原彫刻1



(平等院阿弥陀如来像 木像漆箔、像高284.0cm)

平等院鳳凰堂阿弥陀如来像は定朝の製作になる唯一の現存像である。鳳凰堂はこの如来像を安置するために建てられたのであり、当初は阿弥陀堂と呼ばれた。実際鳳凰堂の堂内には、壁や扉に施された像や図を除けば、この像だけが安置されているのである。

本体は、全体に入念な内刳りが施され、一定の肉厚に統一されている。また、その本体は寄木造りの技法でできており、前面は、頭部、体部とも左右の二材を中央で剥ぎ寄せ、背面は、頭部は一材、体部は二材を剥ぎ寄せている。

仏壇は九重蓮華座と称されているが、実際には八重である。そのうち形のよい蓮弁が四重に差し入れられ、その反り花には藻文を刻んでいる。光背は、飛天光といって、二重円相に雲と飛天を配している。光背の上部には、丸い小天蓋とその上を覆う四角い大天蓋とがあり、複雑な装飾文様が施されている。

また、本体内刳りの内部には、阿弥陀大小呪を記した月輪が置かれている。

この如来像は、表情は非常に現世的であり、その身体もリアルな肉感を感じさせる。深い精神性とか宗教的な荘厳性というよりは、身近な人間性といったものに近い。

こうした像の雰囲気や、寄木造りの木割り、体各部の比例などが、定朝様としてもてはやされ、以後の仏像作りの模範となった。







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