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源氏物語絵巻八:宿木



(源氏物語絵巻:宿木1)

「宿木」の巻は、亡き八の宮の娘中君を中心に展開する。匂の宮と結婚した中君は、匂の宮の子を懐妊するが、匂の宮の心は次第に中君から離れていく。一方、薫の方は、中君への思慕の気持ちが高まるばかりである。そのうち、帝が皇女二宮を薫に降嫁させたいという意向を示す。薫は、中の君が忘れられないので、どうしたものかと迷う。

上の絵は、帝と薫が碁を打つ場面。帝は、この勝負に薫が勝ったら、菊の花を与えようと約束した。菊の花とは、女二宮のことを指しているらしい。


(源氏物語絵巻:宿木2)

匂の宮は、ついに夕霧の娘六の君と婚姻を結ぶことを決意する。それを聞いた中君はショックを受け、自分が劣っているためだと自嘲する。そして身ごもっていることもあって、寝床に臥しがちになった。

そんな中君を薫は慰め、自分の思いを打ち明けたりするが、中君が懐妊しているのに遠慮して、手を出すことを躊躇うのであった。

匂の宮の方は、自分から一方的に中君を放置しておいて、いざ中君に薫の匂いをかぎとると、二人の間を嫉妬したりする。

絵は、匂の宮が夕霧の邸に婿入りして、はじめて六の君と会う場面を描いている。匂の宮が満足しながら六の君に見とれているかたわら、侍女たちが部屋の外で様子を伺っている。


(源氏物語絵巻:宿木3)

薫は、晩秋の頃に紅葉した蔦を中君に見せたいと思い、誘いの手紙を遣わした。二人の間を怪しんでいた匂の宮は、その手紙を自分で読んでみたが、宇治の寝殿を寺堂にしたい旨の差しさわりのない内容が書かれていたので、手紙を読まれた中君はほっとした。

折から秋の風情が風流に映ったので、匂の宮は琵琶を弾き始めた。すると自分もその心得がある中君は、几張から身を乗り出して耳を傾けた。絵は、琵琶を弾く匂の宮と、耳を傾ける中君とを描いている。







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