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地獄草紙3(奈良国立博物館本2)



(鶏地獄)

画面一面に巨大な鶏が描かれている。しかし、よく見ると、暗闇の中を多くの人々が逃げ惑っているのが見える。これは、生前に動物をいじめたものが、その報いとして、動物に迫害されるところなのだ。仏教には、動物愛護の精神があって、動物を虐待した者は、その報いを受けるという教えがある。


(黒雲沙)

生前、放火の罪を犯した者が落ちる地獄。黒雲から炎が沙のように降り注ぐということから、黒雲沙と言われる。罪人たちは、その炎に打たれて、体中が火の車になる。


(膿血所)

生前、他人に腐ったものを食わせた者が落ちる地獄。罪人たちが浮いているのは、腐敗した肉からしみ出した膿血、罪人たちにまとわりついているのは、膿血にたかる羽虫である。罪びとたちは、他人に腐ったものを食わせた報いに、自分自身が腐って、その膿血を羽虫に食わせる羽目になったのである。


(狐狼地獄)

この絵には詞書がなく、筆使いにも異なったところがあることから、別の地獄絵が付け足された可能性が高いとされている。絵の内容としては、裸の女が猛獣に襲われているところを描いてるので、「起世経」の狐狼地獄に相当するものとしても、不自然ではない。もっとも、そうではなく、「大楼炭経」というお経に基づくとする説もある。







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