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当麻曼荼羅縁起絵巻:鎌倉時代の絵巻物



(当麻曼荼羅縁起絵巻、下巻、縦48.8cm、13世紀中頃、神奈川光明寺蔵)

当麻曼荼羅縁起絵巻は、大和当麻寺に伝わる所謂「当麻曼荼羅」の由来に関する物語を、二巻の絵巻物にしたものである。「北野天神縁起絵巻」程ではないが、縦長の大きな画面を生かした、ダイナミックな絵が特徴である。13世紀半ばに当麻寺を巡る信仰が高まった時期があったが、この絵巻はそうした信仰を背景に成立したと考えられる。

物語の内容は、横佩の大臣(藤原豊成)の姫君(中将姫)が、阿弥陀の化身である老尼の教えに従って蓮糸を染め、それもとにして、観音の化身である女性の助けを得ながら大曼荼羅を織り上げ、最後に阿弥陀一行の来迎を受けて往生したというものである。

上の絵は、下巻最後の場面の一部。姫君の前に、観音・勢至の両菩薩と持幡菩薩が現れ、姫を迎えにやってきたところを描いている。蓮台を捧げているのが観音、合掌しているのが勢至、後に立っているのが持幡の各菩薩である。上方の壁には巨大な曼荼羅が架けられている。


(当麻曼荼羅縁起絵巻、下巻)

これは、上の絵に続く部分。阿弥陀如来を中心に多くの菩薩たちが雲に乗って姫を迎えに来たところである。

全体として画面はかなり損傷し、剥落も著しいが、細部に残存する色彩には、まだ鮮やかさが感じられる。金銀泥の使用も効果的である。







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