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法然上人行状絵図:鎌倉時代の絵巻物



(法然上人行状絵図、縦35.3cm、14世紀前半、知恩院蔵)

京都知恩院に伝わる「法然上人行状絵図」は、全48巻の膨大なもので、長い年月と大勢の人々の参加によって作られた。「勅修吉永円光大師御伝縁起」によれば、徳治二年(1307)から10年を費やして作ったとされる。また、参加した画家の数は、画風の相違からして10人以上いたと推察される。

上の絵は、大勢の人々を前にして法話をする法然を描いたもの。開放的な建物の中の、畳の上に坐す法然。その前には僧侶や尼の外に、武士や町人の姿も見える。一遍聖絵の中の信者たちが、いづれも乞食のようなたたずまいを見せているのに対して、こちらは裕福な人々の姿が多い。


(法然上人行状絵図、法然と弁阿)

これは、第四十六巻から。鎮西上人弁阿に法然が選択集を授ける場面。弁阿は、建久八年(1198)36歳の時に初めて吉永の庵室に法然を訪ね、修行に専念した結果、翌春法然から「選択集」を授けられたと記してある。

室内の襖には、竹林と雀の組み合わせの図柄が描かれている。これとほとんど同構図の絵は、第七巻の諸段にも描かれている。







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