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興福寺南円堂不空羂索観音像(康慶):鎌倉彫刻



(康慶作興福寺南円堂不空羂索観音像 木造寄木 像高342cm)

慶派の基礎を築いた康慶については、出自など詳しいことはわかっていない。興福寺と縁が深かったことから、奈良仏師の流れから出て来ただろうと推測されている。奈良仏師は、定朝のあと脈々と続き、藤原時代の末頃に成朝が活躍するが、成朝が死ぬと、それとは別の流れである康慶が出現し、その康慶の流れから、運慶を始め鎌倉彫刻を代表する仏師が輩出した。

治承四年(1181)の平家による南都焼き討ちで、東大寺や興福寺など奈良の古寺が焼かれたが、すぐさま復興が始まり、その過程で康慶は、主に興福寺の造仏に関わった。今日南円堂に残る不空羂索観音像や四天王像は、康慶の代表作である。

文治四年に造仏にとりかかり、翌年完成した。特徴としては、天平時代のおおらかな作風を基調とし、それに武士の時代である鎌倉時代の幕開けにふさわしいリアリスティックな作風を加味している。そのリアリズムが、その後の鎌倉彫刻を基本的に特徴づけるものとなった。

ヒノキ材の寄木作りで、矧木を用いた工法を採用している。瞳は玉眼である。像内には、金の種子、銀の羂索、仏舎利、経巻などが収められている。

不空羂索観音像の目印は、羂索用の縄を持っていることだが、この像の場合には、縄は棒の先に結わえられている。







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