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興福寺南円堂持国天像(康慶):鎌倉彫刻



(康慶一門作興福寺南円堂持国天像 木造寄木 像高206.6cm)

興福寺南円堂には、本尊の不空羂索観音像を囲んで四天王像が安置されている。これらの像は、康慶が中心になって、彼の弟子たちが協力して作られた。この持国天像は、康慶の舎弟実眼が分担したとされているが、いずれにせよ康慶の構想によるものと考えてよい。

本尊同様、天平時代の伝統の上に、鎌倉時代の新しい息吹のようなものを重ね合わす手法が指摘できる。伝統的な要素としては、裳裾を短くした天平時代の作風が指摘できるし、新しい要素としては、躍動する肢体や表情豊かな顔の表現に、リアリスティックな作風が指摘できる。

この四天王像の特徴のひとつとして、胸や腹の部分に施された獅子噛の荘厳(装飾)がある。これは康慶の装飾性への志向をよく物語るものである。

なお、興福寺南円堂には、本尊と四天王像のほか、法相六祖座像と称して、法相宗の高僧の肖像が安置されている。これらの像にも、写実的な表現を見ることが出来る。







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