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願成就院不動三尊像:運慶と鎌倉彫刻




願成就院の不動三尊像は、阿弥陀如来像、毘沙門天像とともに、文治二年(1186)に運慶が北条時政のために作ったものである。不動明王とその従者、制多迦童子及び矜羯羅童子からなっている。X線写真で、二童子像の内部には、毘沙門天像の内部から取り出された木札と同様のものが入っていることが確認されている。おそらく制作経緯を記しているのだろうと思われる。

三像とも、写実的で荒々しい雰囲気をたたえている。その荒々しさとかたくましさといった要素は、阿弥陀如来像よりも徹底しており、運慶らしさがいっそう強く現われている。

不動明王の表現には、東国武士の荒々しさが反映されていると指摘される。こうした荒々しさは、運慶が使った当地の仏師たちの技術をも幾分反映しているのではないかとみられてもいる。それを含めて、東国滞在中に運慶は、武士のエネルギーを彫刻のうちに盛り込むようになったのだろう。



これは、不動明王像の上半身を拡大したもの。憤怒の表情に大きな特徴がある。こうした表情は、以前の仏像にはたえて見られなかったものだ。

(木像彩色 像高明王136.5cm 制多迦童子82.6cm 矜羯羅童子76.0cm )






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