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僧形八幡像:快慶




快慶は、建仁年間(1201-03)に作風の転換期を迎え、中期の段階に入ったといえる。いまだ前期同様安阿弥陀仏の署名をしてはいるが、その作風には、前期の特徴である写実に加え、優美繊細さが目だってきた。これは、この時期の快慶が、宋風、藤原彫刻、奈良の伝統的な様式を丹念に取り入れたことの結果だったと考えられる。こうした試みを通じて快慶は、運慶とはまた違った、彼独特の作風を確立していった。

僧形八幡像は、この転換期を画す作品だといえる。それまでの写実的表現を基礎にしながら、快慶独特の様式美を感じさせる。

頭部、体部通して二材を左右に矧木、それに肩部を寄木している。眼は彫眼である。衣や台座の彩色文様が鮮やかに残っている。

僧形八幡像は、もともと東大寺八幡宮の神体であったが、治承の兵火で焼けたため、重源が鳥羽勝光明院に残っていた画像をもとに快慶に再現させたものである。像内の銘記に、建仁元年に開眼したことが記されている。

(木像寄木造り彩色 像高87.5cm 東大寺勧学院)






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