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文殊菩薩騎獅像:快慶




文殊菩薩騎獅像は、奈良の文殊院の本尊として作られた。文殊院は大化の改新時代の官僚安倍倉梯麻呂の氏寺として創建された寺で、安倍文殊院とも呼ばれている。この像は寺の本尊として、善財童子以下の眷属四像をしたがえ、獅子に騎乗した姿であらわされている。獅子は本来文殊の乗り物である。

頭部内に建仁、安阿弥の名が認められる。僧形八幡と同じく、快慶の作風の転換期を画す作品だといえる。

獅子の背中に蓮華坐が置かれ、文殊菩薩はその蓮華座の上に座しているが、右足を胡坐のかたちに、左脚を踏み下げるというかわった形をとっている。もっとも、獅子と蓮華座は造立時のものではなく、後の時代に補われたものである。

なお、文殊院は東大寺の別格本山として、東大寺の復興を記念する総供養を行った。文殊菩薩像はそのために作られたと寺伝は伝える。

(木像彩色 像高199.2cm 奈良文殊院)






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