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雪舟の山水長巻(四)




山水長巻冬の部分は、真っ白い雪山とその麓に展開する人里を描く。そして、横に連続的に展開すると見える画面に、針葉樹林の縦のリズムを介在させることで、時間の断絶を表現する。この林を境にして、時間の流れが変わることを示唆しているわけである。

上は初冬を描いた部分。針葉樹林の背後に雪煙らしきものがたちこめ、季節が冬に変ったことをあらわす。



仲冬の景色。空は暗雲に閉ざされ、そこから雪をかぶった遠景の山々が浮き上がって見えてくる。



晩冬は仲冬の延長として描かれているが、手前に樹木を配し、そこに生命の息吹を盛り込むことで、冬の終わりが間近いことを暗示している。

巻末の署名には、「文明十八年嘉平日天童前第一座雪舟叟等楊六十有七歳筆受」とあり、「等楊」の印が押されている。



これは初冬の部分の一部を拡大したもの。墨の濃淡のコントラストを使って雪山を浮かび上がらせている。







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