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杜子美図:雪舟




「杜子美図」は、驢馬に乗った杜甫を描いたもの。ごく単純な線と、やわらかい墨の筆致で、飄々たる杜甫のイメージを表現している。

図上に、天隠龍沢による賛がある。それには「明応戊午季穐黙雲天隠龍沢」とあり、明応七年(1498)雪舟馬歯七十九歳の年の作品だと思われる。また、「日日尋詩痩肩聳草廬背上送残年前村在目斜陽落帰路不忙何着鞭」の絶句が添えられている。天隠龍沢は京都建仁寺の僧で、杜詩や三体詩を講じたという。雪舟にとっては、禅僧仲間になる。

杜甫といえば、情念の詩人と言ってよいほど、生涯煩悩にさいなまれた人だが、それと禅とがどうして結びついたのか、興味深いことだ。



これは、杜甫のイメージを拡大したもの、薄い墨で一筆で輪郭を描き、驢馬の部分は、墨の濃淡で表現している。全体として、恬淡とした印象が伝わってくる。(紙本墨画 79.3×16.8cm)







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