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益田兼尭像:雪舟の肖像画




雪舟には、肖像画が四点伝わっている。いずれも大和絵風の画風に従って描かれたもので、そのうちの三点は鮮やかに彩色されている。肖像画は、鎌倉初期に写実的なすぐれた作品が生まれたあと、長く停滞気味であったが、雪舟は大和絵の画法によりながら、質の高い作品を生み出した。

益田兼尭像は、彩色を施されてはいないが、輪郭線は大和絵の技法によっている。非常にリアルな感じを演出している。このように人物をリアルに描くことは、自分の実像を後世に伝えたいという依頼主への配慮からだと考えられる。これは当時の肖像画の中で出色といえるものである。

画面上部に竹心周鼎による賛がある。それによると、兼尭の家臣美濃守信為が主君の寿福を祈るために創建した不二庵の尊像として、文明十一年(1460)に描かせたものという。

益田兼尭は、石見益田の城主で、大内氏にとっては外藩の立場にあった。雪舟は、周防に身を寄せていたときに、この武将とも交際があったと思われる。兼尭は文明十七年に死んでいる。(紙本着色 81.7×40.2cm)







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