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百馬図帖:雪村の世界




「百馬図帖」は、雪村が鹿島神宮に奉納したもの。画帳に馬の絵を貼り付けたもので二種類ある。一つは横長の図面を貼り付けたもの、もう一つは縦長の図面を貼り付けたものである。奉納の時期は記されていないので明らかでないが、雪村が小田原に滞在した頃に、北条氏の武運を念じて奉納したと考えられている(鹿島大神宮は武神である)。そうだとすれば、天文17年前後ではないか。

上は13ある図のうちの一つ、縦長のものである。「鹿島大神宮 奉進納」の款記と雪村の署名がある。構図は非常に単純化されており、太くて濃い墨の線でざっくりとした輪郭を描き、たてがみと尻尾とを薄い墨で無造作に塗る。その他の部分は空白のまま残している。その表現が実に大胆さを感じさせる・



これも縦長の一枚。こちらは三頭の馬のいずれにも、輪郭線の中を空白にせず、墨の濃淡で陰影を施している。

(図帖 紙本墨画 各41.2×28.5㎝ 鹿島神宮宝物館)




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