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列子図:雪村の世界




列子は中国春秋時代の思想家で、道家の系列に属し、荘子よりやや以前に活躍した。その活動ぶりについては、「荘子」の中でも触れられている。それを読むと、虚を尊び、心身を空しくして天地自然と一体となり、風に乗って大空を飛行するのを好んだという。

そうした列子のイメージは、画家のイマジネーションを刺激し、よく画題とされた。中国はもとより日本でも人気があった。雪村の「列子図」はそうした列子のイメージを視覚化したものである。

構図としては、列子が風に乗って、大空を飛行しているところ。画面下手に岸壁を描き、列子があたかもそこから飛び立ったように見せている。風に乗った列子は、地上に立っているようにも見えるようなスタイルだ。しかも上を、つまり天空のほうを見ている。

この作品はもともと、「琴高群仙図」同様に、三幅対として描かれた。これはその真ん中の部分。その左右に、群仙を描いた部分があった。ところで、この絵の中の列子は、「琴高群仙図」中の、左側画面手前の仙人を下敷きにしている。ということは、この絵は「琴高群仙図」から生まれたということになる。

(掛幅 紙本墨画 127.5×56.0㎝ アルカンシェール美術館)





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