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花鳥図屏風:雪村の世界




「花鳥図屏風」は、雪村晩年の60歳代に、北関東の足利、佐野に滞在していた頃の大作。左右両隻に、それぞれ花鳥の様子をのびのびと描いているが、右隻は、早春の頃の生命の躍動を、左隻は、夏の夕暮れ時の静かさをテーマにしている。右が陽、動、剛のイメージを、左が陰、静、柔のイメージと言った具合に、左右対称を意識している図柄だ。

上の図は右隻。右端に水流の勢いのいいほとばしりが描かれているが、これは早春の雪解け水だ。その水流のそばを、鳥たちが元気に飛び回り、生命の躍動を感じさせる。



これは左隻。水辺に蓮の葉が伸びあがり、そのそばでは水鳥たちが眠っている。水は右隻とは対照的に、池を思わせるような、おだやかさだ。柳の葉が揺らめいているのは、風があるせいだろう。

(六曲一双 紙本墨画 各156.0×333.0㎝ 大和文華館 重文)





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