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百鬼夜行絵巻3(紺布、麒麟の妖怪)




右手は前画面に続く黒布の妖怪で、その左手には龍頭の紺布妖怪が対面している。紺布妖怪の背後には、傘の妖怪が杖をついて歩いており、その前には、トカゲ馬に乗った草鞋の妖怪がいる。

トカゲの妖怪のほかは、みな日常生活に用いられるものばかりである。そのトカゲの妖怪にも、白布がかぶされているから、これも日常品である布の妖怪といえなくもない。

草鞋の妖怪は、草鞋のワラから獣の手足が生えている。そして顔らしい部分を黒布の妖怪に向けているのは、何を気にしているのか。



右端の赤いものは、のっぺらぼうのように見えるが、目のようなものはある。その左手には、麒麟の妖怪がいて、のっぺらぼうのほうを見ている。キリンの肩には蟻の妖怪がまたがっていて、小槌を振り回しているが、これはのっぺらぼうを打とうとしているのか。

かれらの前には三つ目小僧がいる。三つ目小僧は、文字通り目が三つある妖怪で、童子の姿に描かれることが多いが、この三つ目小僧は童子ではなく、化け物である。しかも赤い舌を出している。

左手は、赤い袋を担いだ猿女の妖怪。猿女とは、アメノウズメの子孫を名乗る一族で、女達は巫女として活躍した。この絵の中の猿女も、巫女の雰囲気をたたえている。





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