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花下有楽図屏風:狩野長信




狩野長信は、狩野松英の四男で、永徳の弟にあたる。松栄が年を取ってから作った子であったので、永徳の長男で甥にあたる光信より年少だった。狩野派としては、最初に徳川幕府に仕え、後には家の長老として、狩野派の興隆に一定の役割を果たしたとされる。

花下有楽図屏風と呼ばれるこの作品は、長信の代表作。花咲く桜の木の下で宴をはる人々を描いている。秀頼の高尾観楓図とならんで、当時の風俗がしのばれる貴重な作品である。

もともとは六曲一双だったが、右隻は中央の二扇が欠損した。上の図柄は左隻のものである。八角堂の縁上に憩う貴公子たちと、かれらに踊りを披露する役者たちが生き生きと描かれている。



これは、画面右手の、年少の人々の踊るさまを拡大したもの。ゆったりした着物を細帯で締め、刀をかつぎながら踊っているふうである。髪型や表情から見て、男とも女ともつかない、中性的な風情を感じさせる。(紙本着色 東京国立博物館 国宝)





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