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古木猿猴図:長谷川等伯




妙心寺雑華院所蔵の「古木猿猴図」は、前出の「竹林猿猴図屏風」と同様、牧谿の猿の図柄に強く影響された作品である。こちらのほうが完成度が高い。牧谿の模倣を脱して、等伯独自の境地から、猿を描いたためだろう。その完成度の高さは、場面の躍動感となって表れている。

上は、木の細枝にぶら下がった猿を描いたものだが、いかにも動き回っているような躍動感が伝わって来る。濃い墨で描いているので、その躍動感が増幅されて伝わってくるようである。



こちらは、樹木の上の猿の親子を描いたもの。上の猿に比較してやや薄く描かれているが、その分、猿は遠ざかって見える。樹上高くいることを、表現したかったのだろう。

この作品はもともと、小松藩主前田利長が六曲一双の図屏風として所有していたものだが、そのうちの半双が妙心寺雑華院にわたり、その後、双幅に仕立てなおされた。(紙本墨画 双幅 各155.0×115.0cm 妙心寺雑華院 重文)





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